ビートルズの歴史

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ビートルズの歴史

※１９８７年、東芝ＥＭＩ発行／ビートルズ・シネ・クラブ編集のデビュー２５周年記念ブックレット（非売品）から

ビートルズ

1956-1961 1962-1963 1964-1965 1966-1967 1968-1970

世界を揺るがした不世出のグループ、ビートルズも始まりは何処にでもある様な学校仲間のアマチュア・バンドだった。クオリーメンなるグループを率い、気の向くままに演奏し、シャウトするジョン・レノン。一人でギターの腕を磨き既に作曲も始めていた、我が道を行くタイプの音楽青年ポール・マッカートニー。２人の出会いは１９５６年に遡る。共通の友人に連れられてセント・ピータース教会のお祭りに出演しているクオリーメンを見に来たポール。そこでまるで全世界に戦いを挑む様な目をして演奏しているジョンと出会った。ジョンの方はこの童顔の少年がギターを調弦する事も出来、ロックンロールの歌詞を全部知っている事にびっくり。歌詞を覚えられないジョンは何時も出鱈目を歌っていたのだ。１週間後、ポールはクオリーメンに参加。後のビートルズの強力な核が出来上がった。
ジョンとポールはお互いに刺激し合いながら、ギターの猛練習に励んだり、曲作りにも力を入れ始めた。ジョンはそれ迄１つの曲を最後迄書き上げた事がなかったが、ポールに刺激されて真剣に曲作りに取り組み出したのだ。お互いに自作の曲を聴かせ合っては、ああだこうだとアドヴァイス。やがて２人は協力し合って曲を書く様になり、出来上がった曲は総て２人の名前で発表する事を取り決めた。２０世紀最高のソングライティング・コンビ、レノン＝マッカートニーの誕生だ。

次にクオリーメンに参加するのがジョージ・ハリスン。ポールと同じ中学に通うテディ・ボーイ。学校なんか大嫌いで何時も派手な服装を楽しんでいたが、好きなギターに賭ける情熱は人一倍、血が滲む程の練習を重ねていた。１９５７年頃には兄と一緒にレベルズというグループを結成していた。ポールはジョージをギタリストに迎えたがったが、ジョンが反対。あまりにも若過ぎるというのがその理由だった。１８歳のジョンから見たら、１４歳のジョージは子供同然だったのだ。それでもギターの腕前を認められて遂にクオリーメンに加入（１９５８年２月）。
ジョンの学友が中心になって結成されたクオリーメンは次々にメンバーが入れ替わり、最後に残ったのがジョン、ポール、ジョージの３人。３人は音楽的にも優れたものを持っていたし、音楽に対する考え方も同じだった。彼らは放課後や週末になるとポールかジョージの家に集まり、ギターの猛練習。やがてめきめき腕を上げていった。翌１９５９年６月にはキャロル・デイヴィス・ショーの新人オーディションに出場し入賞した。
３人はこのころ音楽の世界で生きていく事を決意している。しかし、ドラマーを欠いていたクオリーメンは本格的なクラブなどには出演出来なかった。出演出来たのは小規模な誕生パーティ位なもので、バンドの名前もその場その場で変えたりしていた。或る時はジョニー＆ザ・ムーンドッグス、或る時はメンバー全員が違う色のシャツを着ていたのでザ・レインボーズといった具合。漸く彼らにも出演場所が出来た。後にメンバーとなるピート・ベストの母親が経営するキャスバ・クラブの専属バンドになったのだ。初めて貰ったギャラは１５シリング。この時にはシルヴァー・ビートルズと名乗っていた。メンバーには新たにジョンの親友、スチュ・サトクリフが加わっていた。

翌１９６０年になると、ラリー・バーンズのオーディションを受けたり、バーンズの紹介でジョニー・ジェントルのバック・バンドとして初のスコットランド巡業に出るなどして少しずつ演奏の機会が増えていった。当時リヴァプールでクラブなどを経営していたアラン・ウィリアムズがビートルズのマネージメントを取り仕切り、クラブやホールへの出演をアレンジしていた。しかし、何といってもビートルズがプロ・ミュージシャンとして飛躍するきっかけになったのはハンブルク巡業だった。念願だったドラマーも新たにピート・ベストを迎え、名前もビートルズと変えて意気揚々とハンブルクに出発。しかし、ハンブルクはリヴァプール以上に荒っぽい港町。バンドの演奏よりも酒を目当てにやって来るドイツ人達を満足させる為には、より熱狂的に、よりワイルドにやらなくてはならない。初めは酒のみの客達に相手にされなかったビートルズも次第にワイルドなロックンロールで観客を熱狂させる様になった。ジョンはこのハンブルク時代の事をこう言っている。「僕らはハンブルクで本当に成長したんだ。１２時間ぶっ続けにドイツ人を踊らせる為には、こっちも全力を尽くさなきゃならなかったんだ。お手本なんて何もなかったから、思いつく限りの事を何でもやったんだ」。彼らはハンブルクで競演した他のグループからも盗める所は盗みとり、成長の糧にした。リヴァプールから来た他のバンドとも仲良くなった。中でもハリケーンズのドラマーとは意気投合。大きな目をぱちくりさせたひょうきん者。小柄ながら、ドラムの腕はピート・ベストより上だと３人は思った。本名、リチャード・スターキー。後に４人目のビートルとなるリンゴ・スターだ。

リヴァプールに戻ったビートルズは、またクラブやホールに出演し始めたが、客の反応はこれ迄と全然違っていた。凄い熱狂ぶりなのだ。彼らの演奏に凄まじいどよめきと歓声が上がった。特に１９６０年１２月２７日、この日は新生ビートルズの誕生した記念すべき日だった。リヴァプールのリザーランド・ホールに集まった人々は「ハンブルクから直撃」のポスターを見て、ビートルズはドイツ人の凄いロックンロール・グループだと勘違いしていたのだ。コンサートは大成功。ビートルズはもはや並のバンドではなかった。ハンブルク仕込みのワイルドなロックンロールでリヴァプールっ児達を虜にした。そして彼らの人気を不動のものにしたのがキャバーン・クラブ出演だった。リヴァプールの中心地にあるキャバーンは如何にも若者達の溜まり場といったクラブ。昼休みになるとビートルズのランチタイム・セッションを目当てに店の前には長蛇の列が出来た。熱気と煙草の煙がむんむんする中で彼らは熱のこもったショーを続け、人気は鰻昇り。今やビートルズはリヴァプール、ナンバー・ワンの人気グループにのし上がったのだ。１９６１年の４月には２回目のハンブルク巡業に出掛けた。この間にはトニー・シェリダンのバック・バンドとして「マイ・ボニー」のレコーディングも行っている。

この頃にはスチュ・サトクリフが抜けてメンバーは４人になっていた。キャバーンにはファンもついて、彼らとのやりとりの中でビートルズは人気と実力を兼ね備えたグループに成長した。この頃、ジョンとポールの出会いに続く第二の歴史的出会いがあった。ブライアン・エプスタインとの出会いである。リヴァプール最大のレコード店経営者、エプスタインとビートルズとの出会いについては、一つの神話が語り継がれている。１０月２８日、或る少年がビートルズの「マイ・ボニー」というレコードがないかどうか、エプスタインの店に尋ねてきた。それで初めてビートルズの存在を知ったエプスタインは、店の直ぐ近くにあるキャバーンに出向き、汗を流しながら飛び跳ねシャウトする４人に一目で魅了され、直ぐにマネージメントする事を決意したのだ（１９６１年１２月）。

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